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何も知らなかった。私に罪はない。
終戦から69年の沈黙を破り、ゲッベルスの秘書が独白する。
若きポムゼルは、第二次世界大戦中、1942 年から終戦までの3年間、ナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書として働き、近代における最も冷酷な戦争犯罪者のそばにいた人物である。本作は彼女が終戦から69 年の沈黙を破って当時を語った貴重なドキュメントである。“ホロコーストについてはなにも知らなかった”と語るポムゼルの30 時間に及ぶ独白インタビューは、20世紀最大の戦争と全体主義の下で抑圧された人々の人生を浮き彫りにする。
彼女のあらゆる表情と証言は、ナチスの時代を甦らせる。
いくつもの高精度カメラは、ポムゼルの深く刻まれた顔の皺や表情だけではなく、瞳の奥に宿す記憶をも鮮明にとらえる。幼少の頃の父親の思い出、初めて出来た恋人の話、ユダヤ人の友人の面影、そして“紳士”ゲッベルスについて、103歳とは思えぬ記憶力でカメラに語りかける。“いわれたことをタイプしていただけ”と語りながらも、時折、表情を強張らせて慎重に言葉を選ぶポムゼル。それは、ハンナ・アーレントにおける“悪の凡庸さ”をふたたび想起させる。
世界初公開のアーカイヴ映像が戦争の真実を明るみにする。
本作品には、当時、世界各国で製作された様々なアーカイヴ映像が数多く挿入される。ナチスを滑稽に描くアメリカ軍製作のプロパガンダ映画、ヒトラーを揶揄する人々を捉えたポーランドの映像、ゲッベルスがムッソリーニとヴァカンスを楽しむプライベート映像、そして戦後、ナチスのモニュメントを破壊する人々やホロコーストの実態を記録した映像。それらは、戦争という人間の愚行はいつでも繰り返されることを語り、戦争の続く今日に警鐘を鳴らしている。
題名:ゲッベルスと私
監督:クリスティアン・クレーネス、フロリア・ヴァイゲンザマー
製作:ブラックボックス・フィルムプロダクション
2017年|オーストリア|113分|モノクロ|16:9|5.1ch|ドイツ語|日本語版字幕 吉川美奈子
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レビュー
毎日新聞 (6/21)
完全主義を描いた映画続々公開 同じ過ちを犯さぬために
朝日新聞GLOBE(6/15)
ミニ・ゲッベルスはいたるところにいる
朝日新聞(6/25)
ナチス元秘書103歳が独白
書籍版
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